就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を支払う障害福祉サービスです。大阪府の最低賃金は令和8年10月1日から時間額1,231円になり、その賃金は給付費ではなく生産活動の利益から支払うのが原則です。この記事では、大阪府でA型の開業を検討している方に向けて、B型との違い、指定基準、基本報酬の決まり方、収支の組み立て方を、公的資料で確認できた数字だけを使って解説します。

A型は開業した月から利用者の賃金の支払いが始まります

報酬の入金は約2か月後なので、その間の賃金と人件費をまかなう資金計画が欠かせません。創業融資の計画書づくりから相談したい方は、当事務所の解説サイト(hands-on-tax.com)の融資・補助金・資金繰り支援ページをご覧ください。Hands On会計事務所は認定経営革新等支援機関です。

就労継続支援A型とは|B型との違い

A型とB型は、利用者との契約関係も報酬の決まり方も違います。

項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型
利用者との関係 雇用契約を結ぶ(指定基準190条) 雇用契約は結ばない
利用者への支払い 賃金(最低賃金が適用される) 工賃(月平均3,000円を下回れない)
最低の利用定員 10人以上 20人以上
基本報酬の決まり方 スコア方式の評価点 平均工賃月額
令和8年6月以降の新規指定に適用される応急的な報酬単価 対象外 対象(基本報酬が1000分の984)

表の最後の行の特例は、B型など4サービスの新規事業所が対象で、A型は含まれていません。B型の開業を比べて検討している方は、就労継続支援B型の開業ガイドもあわせてご覧ください。

開業の大前提|法人格と「専ら社会福祉事業を行う者」

障害福祉サービスの指定は法人でなければ受けられません。個人事業のままでは申請できないため、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人などを先に設立します。

A型にはもう一つ条件があります。事業者が社会福祉法人以外の場合、専ら社会福祉事業を行う者でなければならないと定められています(指定基準189条1項)。すでに別の事業を営んでいる会社でA型を始めようとする場合は、この条件を満たすかどうかを、指定権者との事前協議で必ず確認してください。また、障害者雇用促進法の特例子会社はA型の事業者になれません(同条2項)。

A型の指定基準|人員・設備・定員

人員基準

  • 管理者:事業所ごとに1人。管理上支障がなければ他の職務と兼務できます。
  • サービス管理責任者:利用者60人以下で1人以上。うち1人以上は常勤。
  • 職業指導員・生活支援員:合計で、常勤換算で利用者数を10で割った数以上。職業指導員・生活支援員はそれぞれ1人以上で、どちらか1人以上は常勤。

基本報酬は人員配置で2段階に分かれます。利用者7.5人に対して従業者1人以上を置くとサービス費(Ⅰ)、10人に対して1人以上だとサービス費(Ⅱ)です。

設備と定員

必要な設備は、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室などです。国の基準は訓練・作業室について「訓練又は作業に支障がない広さ」と定めており、具体的な面積の扱いは指定権者の手引きで確認します。利用定員は10人以上です。

最低賃金1,231円は収支にどう効く?

大阪府の最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,231円です(それまでは1,177円。大阪労働局)。A型の利用者は雇用契約を結んだ労働者なので、この金額が適用されます。

前提 金額
1日4時間・月22日勤務の1人あたり賃金(1,231円×88時間) 108,328円
同じ条件で利用者15人分 1,624,920円
1日6時間・月22日勤務の1人あたり賃金(1,231円×132時間) 162,492円

ここに事業主負担の労働保険料・社会保険料が加わります。加入の要否は所定労働時間などで決まるため、勤務時間の設計とセットで見積もります。

賃金は給付費から払えない

指定基準は、生産活動の収入から生産活動に必要な経費を引いた額が、利用者に支払う賃金の総額以上になるよう求めています(192条2項)。さらに、賃金の支払いに自立支援給付(報酬)を充てることは、災害などやむを得ない場合を除いて原則できません(同条6項)。利用者15人が1日4時間働く上の例なら、生産活動だけで毎月約162万円の利益を出す必要があるということです。

この点は開業前から審査されます。厚生労働省の通知は、新規指定のときに「生産活動の収支で最低賃金を支払える事業計画になっているか」を事業計画書で必ず確認して指定の可否を判断すること、指定の半年後を目途に実地指導で確認することを、指定権者に求めています。開業後の管理方法は、Hands On会計事務所の解説サイト(hands-on-tax.com)のA型の生産活動収支と会計のポイントで解説しています。

基本報酬はスコア方式で決まる

A型の基本報酬は、事業所の評価点(スコア)で7段階に分かれます。評価項目は令和6年度改定で次の7つになりました(合計200点)。

  • (1)労働時間:5〜90点(1日の平均労働時間が7時間以上で90点、4時間以上4時間30分未満で40点など8段階)
  • (2)生産活動:マイナス20〜60点(生産活動収支が賃金総額を上回るかどうか)
  • (3)多様な働き方:0〜15点
  • (4)支援力向上:0〜15点
  • (5)地域連携活動:0〜10点
  • (6)経営改善計画:マイナス50〜0点(提出期限までに未提出で減点)
  • (7)利用者の知識・能力の向上:0〜10点

新規指定の事業所は実績がないため、初年度は評価点が「80点以上105点未満」とみなされます(年度途中の指定は2年度目まで)。定員20人以下の場合、サービス費(Ⅰ)で1日533単位、サービス費(Ⅱ)で486単位です。最上位の170点以上は791単位なので、開業後に生産活動収支を黒字にできるかどうかが、賃金の支払いだけでなく報酬の水準も左右します。

創業融資は認定支援機関の税理士に相談できます

日本政策金融公庫や大阪府の制度融資で開業資金を借りるときの創業計画書・資金計画・収支計画を、審査する側の目線で一緒に作ります。面談で聞かれる論点の準備から、開業後に国保連の入金が始まるまでの資金繰りまで、同じ税理士が続けて担当します。

Hands On会計事務所は認定経営革新等支援機関です。初回のヒアリングはオンラインで無料、顧問契約がなくても単発でご相談いただけます。支援の内容は、当事務所の解説サイト(hands-on-tax.com)の融資・補助金・資金繰り支援ページにまとめています。

融資・資金繰り支援ページを見る(hands-on-tax.com)

リンク先:Hands On会計事務所 解説サイト(hands-on-tax.com)

収支の組み立て方|財布を2つに分けて試算する

A型の収支は、報酬の財布と生産活動の財布を分けて考えます。次の前提で、初年度の報酬を試算します。

  • 定員20人、1日の平均利用者15人、月22日開所(延べ330人日)
  • サービス費(Ⅰ)、新規指定の初年度で533単位
  • 1単位10円で計算(実際の1単位の単価は、事業所の所在地の地域区分とサービスの種類で決まります)。加算は含めません。

報酬は 533単位×10円×330人日=月1,758,900円です。ここから職員の人件費、家賃、水道光熱費などを支払います。一方、先ほどの利用者賃金(1日4時間で月約162万円)は、生産活動の利益でまかないます。報酬が余っても賃金には回せないので、2つの財布がそれぞれ黒字になる計画が必要です。

開業資金と運転資金の考え方

報酬は、サービスを提供した月の約2か月後に国保連から入金されます。A型はその間も、利用者の賃金を毎月の給料日に支払わなければなりません。職員の人件費と家賃に加えて利用者賃金の数か月分を運転資金として見込む点が、他のサービスとの大きな違いです。

融資を受ける場合、事業計画書には生産活動の受注見込みと単価の根拠が欠かせません。書き方は創業融資の事業計画書の書き方を、最低賃金が上がったときの賃金管理はHands On会計事務所の解説サイト(hands-on-tax.com)のA型の最低賃金と賃金管理を参考にしてください。

大阪府でのA型の指定申請

大阪府内では、事業所の所在地によって指定申請の窓口が大阪府か市町村かに分かれます。事前協議の期限を過ぎると開業が月単位で遅れるため、物件を契約する前に窓口とスケジュールを確認します。窓口の調べ方は大阪府内の指定申請窓口の解説にまとめています。ほかのサービスとも比べて決めたい方は、障害福祉サービスの選び方をご覧ください。

よくあるご質問

Q1. 生産活動が赤字の間、報酬から賃金を払ってもよいですか?

原則としてできません。生産活動の収支が賃金総額に届かない場合、指定権者から経営改善計画書の提出を求められ、原則1年間の猶予期間のなかで改善を図ることになります。計画書を期限までに出さないと、スコアも50点減点されます。

Q2. 令和8年6月からの新規事業所の報酬引き下げは、A型にも関係しますか?

A型は対象外です。対象はB型・グループホーム・児童発達支援・放課後等デイサービスの4サービスです。ただし令和9年度の報酬改定に向けて改めて議論される予定なので、最新の情報を確認してください。

Q3. A型とB型を同じ事業所で行えますか?

多機能型事業所として一体的に運営する方法があります。定員や人員の特例があるため、多機能型事業所の解説をご覧ください。なお、令和8年6月1日以降に多機能型でB型の指定を新たに受ける場合、B型の部分には応急的な報酬単価が適用されます。

まとめ

  • A型は雇用契約と最低賃金が前提。大阪府は令和8年10月1日から時間額1,231円
  • 利用者賃金は生産活動の利益から支払う。報酬を充てることは原則できない
  • 指定は法人のみ。社会福祉法人以外は専ら社会福祉事業を行う者であること
  • 新規指定の初年度はスコア80点以上105点未満とみなされ、定員20人以下・サービス費(Ⅰ)で533単位
  • 指定申請では、生産活動で最低賃金を払える事業計画かどうかが確認される

大阪府で就労継続支援A型の開業を検討している方へ

Hands On会計事務所の税理士は、税理士法人で6年、障害福祉の現場で4年の経験があります。報酬と生産活動の2つの収支計画、開業資金の計画、開業後の就労支援事業会計まで、同じ税理士が担当します。初回のご相談は無料です。

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参考資料


住宅リフォーム7

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